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「熱くなる」と「アツくなる」と「厚くなる」

晩ご飯中に、家族とちょっとした論争になりました。

とあるCMで流れた「熱(暑)くなる」と「アツくなる」のアクセントについてです。

私自身はCMに目も耳もくれず晩ご飯を食べていたので、元のデータは把握していません。

しかし、母が言うには、本来「熱くなる」と言うべきところで「アツくなる」のアクセントが使われ、逆に「アツくなる」と言うべきところで「熱くなる」のアクセントが使われていたらしいのです。

CMでアクセントが本当にあべこべに使われているのか否かというのも気になりますが、話の焦点となったのは、「アツくなる」自体のアクセントがどうなるかです。

すなわち、「熱くなる」と「アツくなる」のアクセントは同じか否かという問題です。

 

「あつくなる」のアクセントは、少なくとも2通りあります。

下の鍵括弧は、音が高くなる箇所です。

間違えていたら、ごめんなさい。

 

  • 「あ」つくなる(頭高型) e.g. 熱(暑)くなる
  • あ「つくな」る(中高型) e.g. 厚くなる

 

母は、「(温度が)熱くなる」は頭高型、「(心が)アツくなる」は中高型だと言うのです。

残念ながら、私の直感も、「熱くなる」と「アツくなる」のアクセントは異なっています。

 

しかし、意味を考えれば、本来は「熱くなる」と「アツくなる」のアクセントは同じであるはずなのです。

 

三省堂『スーパー大辞林 3.0』より)

 

ツイート内で書いたように、私は、「『温度』に言及するのか『心』に言及するのか」という違いを、2通りのアクセントでもって表している母語話者がいるのではないかと思います。

その結果、たまたま「アツくなる」と「厚くなる」のアクセントが同じになってしまったのかもしれません。

一学部生(しかも音韻論が専門ではない)の意見なので、信憑性皆無ですが……。

 

普段「熱くなる」「アツくなる」「厚くなる」のアクセントを気にして生活しているわけではなく、しかも、個人的には、それらのアクセントによって齟齬が生まれた経験もありません。

なので、このアクセントの問題は、本当に些細なものかもしれません。

しかし、母の発言がきっかけで気になりだしたので、少しだけ考えてみました。

私は、ここでは「『アツくなる』のアクセントはどうあるべきか」を主張するつもりはありません。

そのような「日本語がどうあるべきか」とか「そのことばの使い方は誤っている」とかいうのは、少なくとも音韻論の外側にある問題であると思っています。*1

今回は、ただ「『アツくなる』と『厚くなる』を同じアクセントで言う母語話者がいる」という事実を確認しただけです。

 

引用してはいませんが、いくつか他のブログ記事を参照したので、以下にメモしておきます。

 

d.hatena.ne.jp
tak-shonai.cocolog-nifty.com

  

*1:音韻論という下位分類に限らず、言語学そのものが、ことばのマナーを「決める」学問でないと個人的に思っていますが、自信はありません